だるまとは?
何回たおされても立ち上がる「七転び八起き」のだるまは、大願成就の縁起物として親しまれ、願掛けをしながら片方の目を入れ、願いが叶ったらもう一つの目を入れることで知られています。
ここからは、だるまの起源と歴史について解説します。
だるまの起源
だるまの起源は、今からおよそ1400年前、中国で作られた「不倒翁」という中心に重りを仕込んで倒しても起き上がる様に工夫された、張り子の人形だとされています。
不倒翁が日本に渡って来たのは室町時代です。日本では、「おきあがりこぼし」の名で親しまれました。
だるまのモデル
だるまが今のように、手足がない赤く丸い形になったのは、江戸時代とされています。モデルは禅宗の開祖でもある「達磨大師」です。
達磨大師には、岩壁に向かって9年間も座禅を続けるという厳しい修行の果てに、ついに手足が腐ってなくなってしまったという伝説があります。そして、達磨大師のような高位の僧が身につける法衣が緋色だったことから、赤く塗られるようになったとされています。
だるまの目入れの風習
だるまの目入れの風習には諸説ありますが、そのひとつに江戸時代に天然痘が大流行したことが切欠だとする説があります。
天然痘は非常に高い感染力と致死率で恐れられていましたが、命が助かったとしても失明などの後遺症が多かったようです。
そこで、だるまの商人が目なしのだるまを用意し、買った方が目を入れることで「痘瘡避けのおまじない」になるとしたため、だるまに目を入れることは縁起がいいとする風潮が生まれたとされています。
また、願掛けの「願」と、目の「眼」を掛けているともいわれています。
だるまが合格祈願で選ばれる理由
達磨大師の不屈の精神と、何度転んでも起き上がり続けるおきあがりこぼし、それらが「七転び八起き」ということわざと結び付き、だるまは願いを叶えてくれる縁起物として人々に愛されてきました。
合格に向かってひたすら勉学に励む受験生にとって、転んでも負けずに起き上がり続ける不屈の精神を秘めただるまは、がんばり時に心を支えてくれる、合格祈願の代表格となったのです。
合格祈願のだるまの目の入れ方
合格祈願のだるまの特徴として、買った方が目を書き込むものが多くあります。
ここからは、だるまの目の入れ方について、詳しく解説します。
だるまの目、何で書く?
だるまの目は筆と墨を使うのが一般的とされていますが、黒々と濃く書ける黒の油性マジックなどでも大丈夫です。
描き込む際には願いを込め、「〇〇大学に絶対に合格する!」など、強い気持ちをもって描き込みましょう。
だるまの目、右と左どっちから入れる?
だるまの目は、向かって右側の左目から入れるのが一般的とされていますが、地域によって異なる場合があります。下記一覧表に、主なだるまの目入れについてまとめましたので、参考にしてください。
地域名 | 目入れの順番 |
---|---|
群馬県・高崎だるま | 願いを込めて向かって右の左目から入れ、願いが叶ったら右目を入れます。 |
神奈川県・相州だるま | |
埼玉県・越谷だるま | |
福島県・白河だるま | 願いを込めて向かって左の右目から入れ、願いが叶ったら左目を入れます。 |
静岡県・土肥だるま |
主な目の入れ方の順番をご紹介しましたが、心配な方は購入元で確認することをおすすめします。確認する際には、願い事によって変わる場合もありますので、ハッキリと「合格祈願です」と、伝えるようにしましょう。
だるまの目、いつ入れる?
だるまを購入後、願い事をすると同時に片目を入れますが、目入れを行う日は、大安・友引・先勝など、日柄の良い日がおすすめです。他方の目は、願いが叶ったとき、合格発表後に日柄の良い日を選んで感謝の気持ちと共にいれましょう。
尚、購入時に目を入れて頂く場合は、日柄などは考慮しなくても大丈夫です。
だるまの飾り方に決まりはある?
だるまを飾る場所に特別な決まりはありませんが、可能であれば神棚や玄関に白い紙を敷いて飾るのがおすすめです。だるまの顔は南か東を向くようにし、明るく活気ある場所に飾るのが良いとされています。
また、ゴミ箱やトイレの近くなど「不浄」とされる場所は避け、だるまにホコリがたまらないよう心がけましょう。
祈願成就後のだるまの供養の仕方
お役目を終えただるまを、ゴミとして捨てることは絶対に避けましょう。
新年または年度の一年を一区切りとして、感謝の気持ちと共に供養します。供養の仕方は、寺院や神社で行う「お焚たき上げ」という方法になります。
「お焚たき上げ」は、地域によっては新年の恒例行事となっているところも多くありますので、身近な方に聞いてみるのも良いでしょう。
また、だるま作りが盛んな地域では年中行事として「どんと焼き」というお焚き上げを行っており、そこで供養することも可能です。加えて、「だるま市」などでは、古だるまのお焚たき上げも受け付けている場合もありますので、買った場所にお持ちするのも良いでしょう。
合格祈願のだるまが購入できる「だるま市」
合格祈願のだるまは、インターネットなどでも購入できますが、可能であれば日本各地で開かれている「だるま市」がおすすめです。「だるま市」では、さまざまな種類のだるまを見ることが出来るだけでなく、そこでしか体験できない「だるまの開眼祈祷」などがあります。
ここからは代表的なものとして、日本三大だるま市をご紹介します。
厄除元三大師大祭・だるま市
東京都調布市の深大寺で、毎年3月に開かれているだるま市です。深大寺のだるま市の最大の特徴は、深大寺独特とされている、ご住職による直々の目入れです。
深大寺の敷地内、元三大師堂前に設けられた「だるま目入れ所」で、ダルマの目にインドの古い文字・梵字を入れていただきます。古来から伝わる「阿吽の呼吸」という言葉より、だるまの左目に物事の始まりを意味する「阿」の文字を入れて開眼し、心願叶っただるまの右目には、物事の成就を意味する「吽」の文字を入れ、感謝の意を込めて寺院にお納めします。
高崎だるま市
http://takasaki-darumaichi.com/
だるまの一大産地でもある、群馬県高崎市で開催される「高崎だるま市」は、「日本一早いだるま市」として、1月1日と2日に高崎駅前大通りで開催されます。
二百有余年の歴史を重ねた伝統工芸品でもある高崎だるまは、縁を起こし福を呼ぶ、日本の吉祥・鶴と亀がお顔にあしらわれた福だるまとして人気です。
毘沙門天大祭・だるま市
https://www.fuji-bisyamonten.com/taisai.html
静岡県富士市の香久山妙法寺で毎年旧正月の7日~9日に開かれる、各地のだるまが集結する日本最大級のだるま市です。
毘沙門天大祭だるま市では、本殿東側の開眼堂で、寺院のご住職がだるまの片方の目を入れてくださる「だるま開眼祈祷」も受け付けています。